素直に優しく―360日の奇跡―
メグはウーロン茶を飲みながらPHSを嬉しそうにいじっている。
カチカチとボタンを押して、押し終わってすぐに私とシンをみて両手を顔の前で合わせた。
「ゴメン!メグ先に帰るね!」
「隼人から?」
「そうそう!バイト終わったって。」
メグの嬉しそうな声を聞いて彼氏の話しだってすぐわかった。
私は最初からメグを止めるつもりなんてないし、だからただ二人の会話を聞いてるだけ。
「ヨリ、また明日ね!」
「……明日?」
「うん、明日。じゃーね!」
「おう、じゃーな。」
一方的な約束をされてもいつもみたいにイライラしない。
今までに居ないタイプだからとかじゃなくて…上手くは言えないけど多分フィーリングが合うんだと思う。
だから明日、と言われた事も実は嬉しかったりする。
「嵐だな。あいつ。」
「……だね。」
「強引だけどいい奴だからなー」
隣に座るシンは笑いながらそんな事を言う。
シンはメグをよく知ってる。
でも私は当たり前だけどシンもメグもよくしらない。