素直に優しく―360日の奇跡―



炊飯器がピーピー音を出してご飯が炊けたのを知らせてくれる。


キッチンに立つ私の足元には丸くなるチェリーがいて、チェリーを踏まないように気をつけながらおかずを作り、それを食べる。


変わらない日課。


でも違うのは、気持ち。

メグやシンと今日会った事で少しだけど前向きになれている自分がいる。

だから、いつもみたいに嫌な事を思い出しもしなかった。




「チェリー、待っててね。」




尻尾を振って答えてくれるチェリーを撫でてお風呂に入る。


湯舟に浸かりながら天井から落ちる雫を目で追って、今日を振り返った。




学校でセンパイにケンカをふっかけられて、教師に理不尽に怒鳴られた。

それにイライラして行ったゲームセンターで半ば強引に友達になったメグとシン。




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