素直に優しく―360日の奇跡―
シンの手にあるアイヌネギを冷蔵庫に戻させて、フライパンの中を覗いた。
「ヨリって何気に完璧人間だよなー」
「は?まさかー…」
「いや、メグとか真央に比べたら…」
「あんまりあの二人と比べないで欲しいんだけど。」
フライパンにご飯を入れて木ベラで混ぜながら小さくため息を吐いてしまった。
比べられるのは構わない。
けど、掃除・洗濯・炊事…やらせたら悲惨な二人と比べて完璧と言われても嬉しくもなんともない。
フライパンの中で具と混ざったご飯に味付けして、皿に持ってからシンに手渡す。
「サンキュー。いただきます。」
「はいはい。」
律儀に手を合わせるシンに軽く返事をしてからリビングにいる三人を見た。
メグと隼人は他人の目を全く気にせずイチャイチャしてる。
真央はPHSで最近できたと言う彼氏と電話中。
「お、チェリー…食うか?」
「葱入ってるからやめて。」
「だってよ。」
シンの足元でお座りして尻尾を振りながらもらえるのを期待するチェリーに苦笑いをした。
なぜかチェリーはシンが好きみたいでシンが来ている時はシンにべったりだ。
飼い主としてはかなり複雑だけど、シンもチェリーを可愛がってくれるからそれはそれで良しとしている。