素直に優しく―360日の奇跡―
「あ、シンずる!ヨリ、真央には?」
「あるから大丈夫。」
「ありがとー!いただきまーす。」
電話を終えた真央が目ざとくチャーハンを見つけたところで皿を渡す。
家政婦のようだと思いながらそれでも嫌じゃない。
必要とされているようで逆に嬉しかった。
「ごちそーさん。」
「はいはい。」
「ヨリのチャーハンって店で出てきそうな味付けだよな。」
食べ終わった皿をちゃんと洗うシン。
シンが皿を洗いながら言った言葉に少し浮かれて、でも照れ隠しに何も答えない。
「わかるわかる。真央じゃ作れない味!」
「その前に真央料理できねーだろ。」
「うん。真央はキッチンには立たない方が良い。」
シンと私の言葉にふて腐れながらきちんとチャーハンを食べてしまう真央にシンと目を合わせて盛大に笑った。