素直に優しく―360日の奇跡―



真央は「ご馳走様!」と言い、流しにお皿を置いてさっさとリビングに戻る。




「…あいつは…」


「いいって、私洗うから。」


「気にすんな。チャーハンのお礼だから。」




シンは出会った時から律儀と言うか過保護と言うか、無駄にしっかりしてる。

見た目もだけど中学生なんて思えない。




「なぁ、ヨリってさ…」


「ん?」




洗ったフライパンを仕舞い込み、珍しく歯切れの悪いシンに首を傾げた。

水を出したまま、手にはスポンジとお皿を持ったまま固まるシンに「なに?」と問い掛ける。




「……好きなやついんの?」


「は?好きな人?」


「あー…答えたくなかったら良いから。」




取り繕うようなシンに思わず吹き出し笑いをしてしまった私を少し怒ったように見るシンに「ゴメン」と謝って考えた。


好きな人とかの前にシンやメグや真央、隼人…姉ちゃんにママ。

これくらいしか信じられる人がいない。

そもそも何を基準に好きな人を決めるかが私にはわからない。



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