素直に優しく―360日の奇跡―
キリキリ痛む心臓を知らないフリしてシンから目を逸らした。
――…シンも私から離れていく…?
もしかしたらそれが怖いのかもしれない。
やっとできた気の許せる人。
メグや真央は彼氏第一だし、二人が居ない時でもシンだけは2ヶ月毎日一緒にいた。
ただ寂しいだけ…?
「俺に彼女できてもヨリは俺の親友だけどな!」
「………当たり前。」
スポンジとお皿を置いて私に笑ってくれたシン。
その時、初めて気付いた。
好き、って考えるものじゃないんだ。
本能的に感じるものなんだ。
中学二年の6月、
私は生まれて初めて恋をしていたのに気づきました。
だけど…気付いた時にはもう失恋していたのかもしれません。
キッチンに立ったままいつもいつも気付いた時には掌からこぼれ落ちるものにただ笑った。
―――…神様は…意地悪だ。