素直に優しく―360日の奇跡―




もう7月に入った。

でも、シンとはあれから会ってない。

メグや真央とも街でたまにばったり会うくらいで前みたいに家に集まるとかはなくなった。



――…やっぱり、友達なんかじゃなかったんだ。



漠然とそう思ったんだ。

違うか…三ヶ月前に戻っただけ。






だから今日も一人。

たった一人で意味もなく街を歩き回るんだ。


もしかしたら一人で居れば三ヶ月のあの出会いの時に戻れるかも、なんて…。

重たい足を動かして前に進む。





「ねぇ…一人なら一緒に遊ばない?」


「……いらないし。」


「お、やっぱクールだな。」




肩に置かれた手を払って歩き出した私の耳に届いた声に動かしていた足を止めて勢い良く振り返った。




「久しぶり、ヨリ!」


「………シン?……と…誰?」




後ろに立っていたシンに一瞬舞い上がった。

もしかしたら神様はいるのかもしれないなんて思って…。


でもすぐにそんな気持ちはなくなって足元から体が冷たくなったんだ。




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