素直に優しく―360日の奇跡―
なにを言ったら良いか、何も言えない私の背中ぽんぽん撫でてPHSで誰かに電話する姉ちゃん。
「今日断ったから。ご飯は?」
「……ごめん…姉ちゃん…」
「気にしない気にしない。オムライスでも作るか!」
ただ、安心した。
いてもいなくても同じだ。
家族なんてちっぽけな存在だってずっと思ってた。
でも、
姉ちゃんが言ってくれた事で…
姉ちゃんがいてくれだけで……
こんなに素直になれる自分がいたんだね。
「ヨリ、みじん切り!」
「やりたくないだけじゃん…」
「ヨリのが上手いし。」
二人でキッチンに立って、足元にはチェリー。
玉ねぎをみじん切りしながら空っぽだった心がちょっとだけ満たされた気がした。
みじん切りにした玉ねぎをフライパンに入れて、姉ちゃんに後は任せる。
私はチェリーにおやつをあげながら小さくため息を吐いてしまった。
「また意地張ったんだ?」
「……別に…」
「シンが好きなら好きって言わなきゃ。」
シンともメグとも真央とも会った事ある姉ちゃんには全部お見通しだったのかもしれない。