素直に優しく―360日の奇跡―



チャイムも鳴らさずに勝手に入ってきたシンに姉ちゃんは笑ってるけど私は笑えない。




「――…なに?」


「やっぱヨリってクールだよなー。」




私の声は震えてなかっただろうか。

普通に話し掛けられただろうか。


平常心を保とうとする私を見るシンの目は本心を見抜こうとしてるみたいに感じてどうしても見る事できない。




「なんで帰った?」


「別に。あそこにいる意味なんてないでしょ。」




帰って。
帰らないで。

反する考えがぐるぐるしてて、素直になるなんてできるわけもないんだ。

卵をがちゃがちゃ掻き混ぜて自分の気持ちを隠す。




「ヨリに話しあったからさ。」


「だからなに!」




やっぱり私は素直には絶対になれないのかもしれない。

素直になりたいのに…


ただ、好きって言えば良いのかもしれないけど…




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