素直に優しく―360日の奇跡―
「ちょっとコンビニ行ってくるから!」
「は?今から?」
「じゃーね。」
突然コンビニに行くなんて言い出した姉ちゃんが気を使ったなんて考えなくたってわかる。
でも正直、有難迷惑で…今は二人になんかなりたくなかった。
「ヨーリ、なんかあった?」
「別に…」
「はい、嘘。ヨリは嘘下手だからなー。」
食卓テーブルの椅子に座ったまま私を見るシンが怖かった。
どんなに強がってもどんなに意地張ってもシンには見透かされそうで怖かった。
台拭きを握りしめて目を逸らしてシンを見ないようにするだけが今の私にできる事。
「なぁ、ヨリ。」
「………なに…」
「俺さ、ヨリ好きだよ?」
握りしめた台拭きをポトリと落として口をぽかんと開けて立ち尽くす私はものすごいアホっぽかったと思う。
――…なに言ってんだこいつ。
それが正直な気持ちだった。