素直に優しく―360日の奇跡―
シンは甘やかしてくれるけど、それも初めての事で甘え方なんて知らない私は相変わらずシンを突っぱねてしまうんだ。
「ヨリさ、どっか行きたいとこないのか?」
「………無理だから良い。」
「どこ?」
「良いって。」
「良いからどこ?」
しつこく食い下がるシンに呆れながらもしかしたら連れて行ってくれるかも、なんて淡い期待を持ってポツリと呟いた。
「……京都。」
「また遠いなー…」
「だから無理だって言ったじゃん。」
未だに葱を持ったままの私と、考えこむシン。
傍から見たらバカみたいな光景でも、動いて良いのかわからなくて葱を持ったままでシンを見上げた。