素直に優しく―360日の奇跡―
「………帰るかな…」
うるさいゲームセンターの中で小さく呟いて、ため息を吐いた。
楽しくない。
人が信じられない、人間不信気味な私には無邪気に笑う周りの学生がただ疎ましかった。
「ねぇ!」
「………誰。」
「メグ!一人ならあっちで遊ばない?」
肩をポンポン叩かれて振り向いた場所に小さい指定ジャージを着た女が立ってる。
無遠慮に腕を掴むメグって子にイライラしながら睨みつけてもケロッとしたままでまたぐいぐい腕を引っ張られる。
「メグの友達さーめっちゃうまいんだよね。ダンレボ!」
「行かないから離せや。」
「見るだけならタダだし良いじゃん!ほらあれあれ!」
クラスメートなら怯むような睨みもケロッとしたまま受け止めるメグにほんの少しだけだけど興味が沸いた。
そのメグが指差したとこにはダンレボをやってる男。
言うだけあって確かに上手かった。
確かに見るだけならタダ。
それなら…って自分らしくないような考えが私を変えたのかもしれない。