爽やか抹茶Days~若様のお茶はいかがですか?~
自分で作り上げたものを最後まで。70点でも堂々と。
ストンと胸の中に落ちた言葉を反芻しながら「大丈夫です、準備は出来ています。」と双葉先輩が待つ方へ向かいます。
私が来るのを確認すると襖の向こうへ挨拶を始めた双葉先輩。
視界の隅にはニッコリ笑った八束先輩とやれやれという表情をした諒ちゃん。
挨拶を終えた双葉先輩が口パクで「行くよ」と言った後に開いた襖の、正面の点前座の向こうでは正客役の伊月先生がニッコリ微笑んでこちらを見ています。
「いつも通りにいけば良いの。
茶席だからって気張る必要はないからね。」
脇で耳打ちしてくれた双葉先輩に「大丈夫」という意味でニコッと笑った後に襖の向こうを見て「一服差し上げます」とまだ震える声で、私自身が挨拶を。
いつか、始めて八束先輩のお点前を見た日を思い出しながら。あの日と同じように始まりの挨拶であの日の私と同じように茶室にいらっしゃる方々を侘びさびの世界へお連れします。