爽やか抹茶Days~若様のお茶はいかがですか?~
「一服差し上げます。」
茶室を見回した後、軽く頭を下げて元に戻した八束先輩の顔は。
もうさっきまでの爽やかな笑顔ではなくて真剣そのもの。
真っ直ぐ伸ばした右手には水を汲む為らしき道具と薄茶色い、手の平サイズの円柱…あれは竹で出来ているのでしょうか?
左手には黒くて、桶のようなもの…お風呂場にあるのよりは一回り小さいですね。
何に使うんでしょう?
ツッ…ツッ…と八束先輩が歩く度に畳の擦れる音が部屋の中にそっと響く。
お釜と陶器の間の正面に座ると、流れるようにお点前が始まりました。