ティーン・ザ・ロック
一枚捲ったその先には
「ゲッ!何コレっ」
見開き一ページ分の、あたしの写真。
そのどれもがカメラから視線を外していて
誰が見ても隠し撮りだと分かる位、不自然な写真ばかりだった。
「ボーっとしてるから、意外に楽に撮れたし。
母さん達、あんなに楽しそうにしてたけど
ホントはお前が嫌々来たんだってこと分かってたぞ。
でも、せっかく来てくれたんだし、横顔だけでも残したいって言うから
俺がケータイ見るフリして頑張ったってワケ」
中々上手く撮れてるだろ って笑ってるけど。
シャッター音にすら気付かなかったなんて、我ながら鈍感で情けない。
でも…
あたしの事もちゃんと気にかけてくれてたんだ。
家族から離れた場所にしかいなかったから
見知らぬ土地で、見知らぬ人ごみで
あたしだけが一人ぼっちなんだろうな、なんて考えてた。
けれど…
家族はちゃんとあたしを見てたんだね…。
「楽しめば良かったなー」
ポツリと放った後悔の念。
今更思ったって後の祭りだけど、兄はそれを受け止めてくれる。
「良いんだよ、みんなお前が好きなんだから。
何やったって、誰も恨みはしねぇよ」
ぐしゃりと頭を撫でられて、ちょっとだけ涙が出た。