ティーン・ザ・ロック
ふ と隣に座る彼の横顔を盗み見る。
彼は机に肘を付き、手首の上に頬を乗せて、いかにもダルそうにしていた。
だが、それは決して下品なものではない。
男性に例えるのも少しおかしい話だが、
それはまるで天使の様に、綺麗で儚くて 優しい横顔に見えた。
…そうか。今ならその理由が分かる。
いつもはこんなに近くで見る事など無く、ただ気付かなかっただけなのだ。
間近で見た彼は、とても綺麗な顔をしていた。
どこか憂いを感じさせる表情も、彼の整った顔立ちの前では魅力にすら感じてしまう。
…みんなは気付いているのだろうか。
彼のこの魅力に。
否、知る筈がない。だから、あんなに嫌悪しているのだ。
でも、きっと知ってしまったら…あっという間に惹き込まれてしまうだろう。
そして その魅力から抜け出せなくなる。絡め取られる様に、吸い込まれる様に。
きっと、そう。
今のあたしがそうなのだから。