ティーン・ザ・ロック
扉越しに聞こえてくる笑い声は、どうやらあの三人の物だけではないらしい。
紅葉の、特徴のある高い声に混じる聞き覚えのある声。
どうやらそれは、クラスメイトの物の様だ。
でも、それだけでは、彼があたしを中に入れない理由にはならない。
引き留められた時に捕まれたままの腕を解こうと力を入れるが、彼は首を横に振って、それを許してくれない。
「何で…」
行かせてくれないの、と声を上げそうになった時だった。
一層大きな笑い声の後に、冬華の声が教室の外まではっきりと聞こえて来た。
「葉瑠もさー。調子乗って来たんじゃないの?」
一瞬頭がフリーズした。
今言ったのは、あたしの名前だった…?
それに…
な ん て 言 っ た ?
思考がついて行けていないのに、彼女達はさらに続ける。
「つかさ、その校門に居た男たちは何だったの?」
「超イケメンだったらしいじゃん」
冬華と奈津の言葉の後に、クラスメイトのものらしき声がした。
「うちも噂で聞いた話だけどー。
相野口っているじゃん?クラスで一番人気のー。
そいつと逢坂が一緒に帰ろうとしたのを見て、校門に居た男がガンギレしたんだって!
っつー事は、逢坂はその男と付き合ってる って考えたら話し繋がるじゃん!!
もう一人は知らないけどさー。
でも、逢坂は相野口だけじゃなくて、クラスの男たちまで周りに置いてたらしいよ」
足元が、崩れ去った様な衝撃だった。