ティーン・ザ・ロック
違う、そんなんじゃない。
校門に居たのは兄と従兄だ。彼氏なんて、居た事無い…!
それに、男子達の事だって、誤解だ。あたしから側に来てくれと頼んだわけでも、色目を使ったわけでもないのに。
なのに、何で。
ギュッと唇を噛み締めると、ジワリと鉄の味が広がった。
「それにさー。あの子って、自分の事何も言わないじゃん。
うちらの事信用してないって事でしょ。
そのくせ紅葉には懐いててさ。何がしたいの?って感じ。
紅葉もウザい相手に気に入られちゃったね」
あはは、と笑う奈津の声。
『ウザい』
確かに彼女はそう言った。
それは、ずっと思って来た事なのだろうか。
この一ヶ月間、あたしは一度もウザいだなんて思った事など無かったのに。
でも…紅葉は違うよね…?
前の時見たく、庇ってくれるよね…?
そんな期待を抱いたのが、バカだった。
「…そうそうー!こっちは善意で一緒に居てやってるのに。ボランティア精神だよねー。
それにしても…清純そうな顔してて、意外に裏では何やってるか分かんないね」
彼女の言葉は悪意にまみれていた。中傷するだけでなく、友情までもが偽りだと言っている。
……これじゃあ、留美と何も変わらないじゃない。
彼女だけは違うって思ってたのに…。
こんなのって…こんなのってないよ……!!