ティーン・ザ・ロック

秘密基地









夕陽が目にしみる。

太陽の赤い光だけがあたしを見つめていた。



…疲れた。



泣く事にも、人間関係にも。


この場所から飛び降りてしまおうか とも思ったが、そんなにあたしは強くなかった。


死にたくは無い。でも、こんな世界から居なくなりたい。



誰もがあたしを必要としてくれる世界に行けたらいいのに。


アリスみたいに、どっかの穴にでも落ちたら、夢の世界に行けるのかな…。



そんな事を延々と考えていると、背中の向こうで錆ついたドアが開く音がした。



ゆっくりとそちらに頭を向ける。



そこに立っていたのは、やっぱり彼だった。




「……探した」



「………一人にしてって言ったのに」



「………」



最悪だ。


せっかく来てくれた杉澤君に、あたし、なんて事を…。


……でも、これで良かったのかもしれない。



彼もあたしの噂を聞いていた筈。彼もきっとあたしを『男好きの軽い女』だと思った事だろう。


だから、良いんだ。



優しくされて信用して、傷付いてしまう前に、こっちから突き放せば良いのだから。




< 117 / 337 >

この作品をシェア

pagetop