ティーン・ザ・ロック
コンビニに着いて、2分程歩けばもう家の前だ。
「……ここ?」
「うん、そう」
「………大きいね」
「うん。製薬会社の社長なんだって。
…行こう」
インターフォンを押して、優さんに帰った事を知らせると、ガチャリと玄関のカギが開いた。
「おかえりなさ……あれっ?」
「…ただいま…」
「………お邪魔します」
ペコリとお辞儀をする杉澤君から、優さんは目が離せなくなっている。
口がパクパクと、陸に打ち上げられた魚みたいに上下して…
「ちょ…ちょ……!!
雪ーーーー!!!葉瑠ちゃんが彼氏連れて来たーーーッ!!!」
わ…。予想通りの展開。
その言葉を聞いてリビングから顔を出し、箸を持ったままドタドタと駆け付けてくる雪さん。
「何ーーッ!?どんなヤツー?
要が知ったら卒倒する…
…メガネ…!!同志よ…!!葉瑠ちゃんを宜しくお願いします」
何それそこが判断基準になってるわけ?
ハイテンションな二人に囲まれて、顔を強張らせながら後ずさりする杉澤君が可哀想になって来た。
そろそろ誤解を解かないと逃げ出してしまうかも…。
「盛り上がってるとこ悪いけど…。
杉澤君は只のクラスメイトだよ」
ピタリ。
良く似た二人が同時に口をつぐみ、動きを止めた。