ティーン・ザ・ロック
制服を脱ぎ、ハンガーにかける。
下着姿のままクローゼットを漁って、普段家で着ているものよりも少し良い物を選んで身に付けた。
フリルのショーパンにキティちゃんのロンT。髪は上で一つにまとめて緩いお団子にした。
…あからさま過ぎて優さんは絶対に気付くだろうな…。いつもはノンブランドのTシャツにスウェットだし…酷い時は高校のジャージだったり。
でも、男の子が自分の暮らす家に来たのだ。ちょっと位気合を入れても許される…よね。
ドキドキしながらリビングに降りると
「あら?…あらあらあらっ」
「…………」
やっぱり優さんは気付いた。
「ねぇ、やっぱり葉瑠ちゃん…彼の事……」
「そ…そんなんじゃないですってばっ」
「…そうやって真っ赤になって否定する所が可愛いわよねー!」
……本当に違うのに。
でも、これ以上言い訳した所で誤解は解ける筈も無い。
口の中でモゴモゴと言うだけに留め、テレビの前のソファーに身体を沈めた。
いつも8時に観ている番組が、もう中盤に差し掛かっている。
彼は連絡しなくてもいい みたいなニュアンスであんな事を言っていたけれど…。
ちょっと不良で、いつも10時くらいまで帰らないのなら話は分かるけど
真面目そうな彼が、普段こんな時間まで出歩いているとは思えない。
それで本当に連絡しなくて大丈夫なのだろうか…?
…いくら心配しても、あんな事を言ってしまった手前、彼の家族の事に突っ込む事は出来ないのだけれど。