ティーン・ザ・ロック
「紅葉。手伝ってくれない?」
彼女も、書記とは言え学級委員である事に変わりは無い。
先生からも学級委員は全員クラスをまとめる役目があると言われている。
でも。
「私は書記だし…。学級委員長がまとめられない事が紅葉にできる筈ないでしょ?」
そう言って協力を拒否しただけでなく、冬華や奈津と一緒に、整列もせずにどこかに行ってしまった。
先週の、あの陰口を聞いてしまった次の日から
彼女達はあたしを少しずつ避け始めていた。
最初はトイレだった。
いつもトイレに行く時にはあたしを誘っていた紅葉。
一人で行けないのかなーなんて思った事もあったけど、本当は嬉しかった。
それが女にとっては友情を確かめる儀式みたいなものなのだから。
でも、あたしの代わりに奈津と冬華を誘って行くようになったのだ。
あたしから誘ってみることもあったが…毎回の様に、さっき行ったから と断られる。
そこからだんだん、徐々に。
教室以外での授業がある時の移動、帰る時、更には食事中も
あたし抜きで行動する事が増えた。
『誰でも誘惑するタラシ女』
尾ひれの付いた噂は学年中に広まっている。
新しく友達を作ることすらできないあたしは
たった一人で行動する意外に、何も出来なかった。