ティーン・ザ・ロック
たった一つだけ、だけど。
そんな状況でも学校に来ようと思えるのは、杉澤君のおかげだった。
彼は何も言わないし、あたしも愚痴をこぼすつもりは無い。
メールは一度だけ。鍵を渡したその時だけ。
でも、彼が教室にいると思うだけで、あたしも頑張ろうと思えるんだ。
彼はもっと辛い目に遭っている筈。
林田からの呼び出しは頻繁になっているし
呼び出されてから教室に戻ってこない事もあった。
きっとまた殴られたりしているんだと思う。
それでも何食わぬ顔で学校に来続ける杉澤君を…何も出来ないのは分かっているけれど…見守って居たかったんだ。
だからあたしだって、こんな事でめげたりなんかしない。
「ちょっと…整列して!!」
声を張り上げても一向に動こうとしない女子たち。
それを見かねてか、男子達があたしを擁護してくる。
「うちのクラスのオンナは性格ブスばっかだな。顔もブスだけど」
「逢坂さんが可哀想だ」
「早く並べよ。並ばねぇとバスにも乗れねぇじゃん」
…庇ってくれるのは嬉しい。でも。
いま、この状況では迷惑以外の何物でも無かった。