ティーン・ザ・ロック
死体を見るのは、3年位前に亡くなった、おばあちゃんが初めてだった。
大きな仏壇の前に横たわり、死んでいるのか、ただ眠っているのか
それさえ分からなくなる位、綺麗な死体だった。
でも、目の前にある物は違う。
皮膚は焼け焦げ、父や母の面影も無い位 酷いもの。
「ぁ…ぁ……ああっ」
「葉瑠…!!」
胃の中の物が逆流してくる。
悲しいのか、苦しいのか、怖いのか、気持ち悪いだけなのか
何だか分からない涙が頬を伝う。
「葉瑠!!」
力の入らない膝がガクリとバランスを崩し、床に崩れ落ちそうな瞬間に
兄があたしを支えてくれた。
「あ…ぁ……」
吐き気が治まらず、口元に手をあてたまま、その部屋から連れ出されたあたしは
トイレで胃液を吐き出した。
こんな時でも兄は、あたしの背中を優しくさすってくれていた。
「あれがお父さんたちだって…よく分からなかったよ、お兄ちゃん」
「……うん」
「ちゃんと…ッ…見てあげられなかったよ…」
「……うん」
ごめんね、お父さん お母さん…
ゴメン
ごめんね………。