ティーン・ザ・ロック




「これで良し。

この後の行事は走りまわるから、大事を取って参加しない事だねー。


私が担任の先生に言っておくよ。何組だっけ?」



「…D組です」


「よっしゃ。あ、クラスの人数は偶数?」



…何だ、その質問。


戸惑いながらも頷くと、女の先生は悪戯っぽい笑みを湛え、楽しそうに言ったのだ。



「次のレクリエーションは男女ペアでやるんだってさ。

一人だけ余っても可哀想だろ?


丁度良かったじゃん。そこの彼氏と抜けちゃっていいからな」



「な…っ!」



思わず杉澤君を見てしまう。彼もまた、あたしを見て驚いた顔をしていた。


彼氏なんかじゃないのに…!



「ち…違いますよっ!あたし達は別に…」


「あーそうなの?わりぃわりぃ。

現れた時心配そうに支えてたから、てっきりそーゆー関係なのかと思ってた」



がははっ と、大口を開けて笑う様子は、女としての色気を微塵も感じなかった。



こんな人が教師で良いのだろうか…。


でも、こんなに楽しい人が担任なら、もっと笑っていられたのかなとも思う。



「お、そろそろ集まって来たな。


キミ達も外に出たらいいよ」



先生は、じゃあ と救急箱片手に、先に外に出ていってしまった。


自由と言うか、男らしいと言うか。



とにかく凄い先生だったなー…。



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