ティーン・ザ・ロック
冷たい風が頬を撫でる。
光が落とした葉の影が揺れる。
土の匂いが鼻を擽る。
笑い声。
足音。
鳥の声。
風が鳴る。
髪が、揺れる。
----自覚してしまった後の世界は、前よりも色鮮やかに、鮮明に見えた。
どくどく と激しく波打っていた心臓が、徐々に落ち着きを取り戻す。
これがあたしの初恋…。
今までは父と兄以上に好きになれる異性は居なかった。
告白なんてされた事無いし、ましてや好きでもない相手とデートや付き合う事なんてしたくなかった。
誰かを気になる位の感情すらなかったあたしが、ここにきてやっと初恋…。
しかも、相手は謎に包まれた無表情な男の子。
初めての恋にしては難易度が高すぎやしないかと思った。
でも…
隣に彼が居ると思うだけで、また心臓が激しく脈を打ち出す。
どうしよう。
本当に、どうしよう…。