ティーン・ザ・ロック
『起きてるよ』
何度も何度も打っては消して、最後に残ったのはたったそれだけだった。
送ってしまってから、なんて寂しいメールなんだ と落ち込む。
せめて絵文字だけでも付ければ良かった。
見直してみると怒っている様にも見える。
そんな冷たいメールにちゃんと返信してくれるか心配だったが、取り越し苦労だったようだ。
1分も経たずに返って来た彼からのメール。
『ちょっと外に出て来れない?』
いつもの口調がそのままメールに現れている。
何を考えているかは文面だけじゃ分からないけど、彼は絵文字がどうとか、そんな小さな事を気にする人ではないだろう。
それよりも…
何故こんな時間に外へ…?
『良いけど…見回り、大丈夫かな』
そんなメールの返信は
『1時になったらもう一度見回りがあるんだって。それが最後の見回りだから。
終わったら風呂場の横にある出口から外に出て。それに女子はあの先生が見回り担当だったよね。
だったら少しぐらいの融通は利くと思う』
だった。
何故彼が先生達の見回りの時間を知っているのか。それが疑問だったけど…。
バレずに外に出れるかどうか。
それだけを考える事に専念する事にした。