ティーン・ザ・ロック





彼の言った通り、1時丁度に見回りに来て、未だ起きている生徒達に呆れた顔をして去って行った。



もしこの後来るにしても、見回ったすぐ後には現れないだろう。



たっぷり5分程間をおいて、布団から這い出た。



出口に繋がる襖を開けると、声がかかった。



「葉瑠、何処行くの?」




紅葉だ。




紅葉がクラスの女子たちと一緒にあたしを見ている。



「…ちょっと、トイレ」



「……ふーん。紅葉もいこうかなぁ」



……こんな時に。



いつもは誘っても嫌がるくせに。何なの。なんで邪魔をするの。



「ゴメン。お腹痛いし、先生に薬貰ってから行きたいから」



「だったら私も一緒に行った方が良いよね。具合悪いんだもん」



…こんな時に考えた事は、一人称を統一させろ だった。



変な所でイラつくのは、自分の思い通りに行かないせいだろう。


「紅葉、事故とは言え葉瑠に怪我までさせちゃったんだもん…。捻挫してるんでしょ…?

だから…少しでも葉瑠の役に立ちたいんだ…」



だったら放っておいてくれ。


関わらないで。彼の元に行かせて。


胃がムカムカしてどうにかなりそうだ。





紅葉は反省なんかしていない。


あたしだって、それが分からない程お人よしじゃない。




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