ティーン・ザ・ロック




「ね。紅葉も一緒に行く…」


「…五月蠅い」



「え…」



もう駄目だ。一度溢れた感情は止まらない。



「五月蠅いって言ってるの。


大体、事故って何?あたしが池に落ちたのも足をくじいたのも、自分がわざと突き飛ばしたからだって自覚は無いの?


反省してるなら尚更、あたしには関わらないで。


嫌いなんでしょ?あたしの事。


関わりたくないんでしょ?



だったらもう、話しかけなくて良いよ」



冷たく言い放って襖に手をかける。


すると、紅葉の啜り泣く声が聞こえて来た。



「そんな…っ…私は…っ!」


卑怯だ、と思う。


泣けば済むと思ってるの。


……いや、違う。


彼女は泣く事で、あたしを窮地に追いやる事が出来ると知っている。



自分の周りに味方を集める術を知っているからこそ泣くのだ。



だって、現に、ほら。



「…それは無いんじゃないの」


「タラシの上に性格まで歪んでるんだ」



紅葉を庇う、盾が出来た。




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