ティーン・ザ・ロック
「……話そうと思って」
唐突だった。
彼は正面の深い闇を見つめていたし、あたしも星空を仰いでいた。
でも、顔なんか見ない。見なくても分かる。
「お家の事…だね」
「……うん。
……逢坂さんになら良いって…思ったから」
「……うん」
びゅう びゅう びゅう
三度強い風を体中に浴びて
それが合図だったかのように、彼はゆっくりと話し始める。
「僕は、望まれてない子どもなんだ。
愛されなかった。
愛されない。
今までも。これからも」
深く、暗く、激しく、悲しく、辛く、空っぽな
彼の物語のプロローグだった。