ティーン・ザ・ロック



「……僕には父親が居ないんだ。


母が17歳の時に、夜道で襲われて出来た子どもだったから。


母は家出少女で、家に帰らず遊んで歩く毎日だったらしい。



友達の家を転々として、男友達とか知らない男の家にも平気で泊まりに行く様な人だったって聞いた。


……人通りと明かりの少ない道を、友人の家に向かう為に歩いてた時。


黒いバンが止まって、中から男が現れて


車の中で犯された。



男は顔も隠さずに母を襲ったらしい。避妊もせずに。



……そいつらは最中の写真を撮ってて、誰かに言ったらばら撒くと言って脅し、母を裸のまま車外へ捨てた。


目つきの悪い男だったって、言ってた。



……その時に出来たのが、僕なんだ」




一旦話を区切り、大きく息を吸う。


きっと相当な覚悟が要ると思う。



あたしはただ、彼が話し始めるのを待つ事しかできない。





「…………妊娠に気付いたのは4カ月目。



どうしようかと悩んだけど、降ろす金も無くて、友達に腹を蹴って貰ったりもした。


だけど…。ただ痛いだけで、あんたはしぶとく腹に収まってたんだ…って、母が言ってた。


もうどうしようもなくて、勘当されるのを覚悟して家に帰ったら、父親に腫れあがるまで頬をぶたれた…って。


でももうその頃には降ろせない時期に来ていて、しかも臨月で。


産むしかなかった。


父親も母親も、おじいさんもおばあさんも…


誰もが望んでない中、僕は産まれてしまったんだ」



< 160 / 337 >

この作品をシェア

pagetop