ティーン・ザ・ロック
風が。
夜風が。
土の香りと芝生のかけらと、少しの水滴を浚って行く。
そのしょっぱい滴は
あたしの物なのか、彼の物なのか。
分からない。
泣いていた。二人とも。
ただ、とめどなく。川の水が流れる様に、至極自然な事の様に。
「………産まれてしまった後、本当は施設に入る予定だったんだ。
でも、ひいおばあさんがそれを許さなかった。
どんな理由があろうと、自分が産み落とした子なら責任を持って育てろ、と。
ひいおばあさんの言った事には誰も逆らえない。会社の持ち主でもあったひいおばあさんに逆らえば、当然金は貰えず、後を継いだおじいさんも解任になるだろう。
…だから、仕方なく僕を育てる事にした。
それはおじいさんから聞いたんだ。僕が5歳の時。ひいおばあさんが亡くなった日の夜に。
そこからだよ。地獄の様な日々が始まったのは。
母も、おじいさんも、おばあさんも。
僕に手を上げる様になった」