ティーン・ザ・ロック





「は…話って、な…に?」



無言は気まずい。


変な空気を作って去って行った先生を恨みながら話を振った。




「うん…。さっきの続きなんだけど…。


その前に、ゴメン。



……いきなりで驚いたよね…」



「え?理事長との関係の事?


……ビックリはしたけど…。聞きたかった事だから…」




……彼の事情が他の人よりも複雑だって事は分かっていた事だし。


それに、その人の事情なんて、言われなければ何も分からない事の方が多い。



だから、きちんと彼の口から聞けて良かったとホッとする方が大きかった。



彼はあたしの言葉に多少安心した表情を見せて



またぽつりぽつりと言葉を紡ぎ出す。



「…………。



実は……まだ結婚はしていないけど、一緒には暮らしてる。

でも、僕は邪魔な存在みたいで。



弟…風馬(ふうま)にはあの人も母も笑顔を見せるのに


僕に向けて二人が笑顔になった所を見た事がない。



いつも僕を避けてて……最近は特に居場所がなくて、家に帰りたくなくて



…だから、委員会に入ったり、屋上のカギをくすねて合鍵を作って


あの場所にずっといるんだ」



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