ティーン・ザ・ロック
一度、長いクラクションが鳴り響き
涙を流す会葬者の間を、ゆっくりと進んだ。
初めて乗る霊柩車。
静かに、ただひた走るその車は、意外にも乗り心地が良かった。
火葬場に付き、後から付いてきた親族と共に準備を済ませると
先程まで会場に居た会葬者も、マイクロバスで到着し
最後の別れへと移った。
葬儀の間中、一度も開かれなかった棺。
聞けば、焼死体となった死体は、よほどの事が無い限り開かれないのだという。
だが、もう顔を見れるはコレで最後だ。
見ないで後悔するより、どんなに酷い死に顔でも最後に一目会いたいという人たちの為に
少しの間だけ棺が開けられた。
葬儀以上に泣き崩れる人たちを見つめながら、隣に立つ兄にお願いをする。
「お兄ちゃん」
「…ん?」
「あたしも、花をあげたい」
「葉瑠…でも、お前…」
兄が心配するのも無理は無い。だけど…
「大丈夫。この前ほど取り乱す事は無いと思うから。
でも、隣にいてくれたら…もっと安心なんだけどな…」
「……ああ、勿論。
ずっと、お前の近くに居てやるから」
柔らかく微笑んだ兄に、少しだけお父さんの顔が重なった。