ティーン・ザ・ロック





彼女はくねくねと身体を動かしながら、恥ずかしそうに言ってくる。



「あのね…。要さんが、叔父さん達にも紹介したいって言ってくれたから…。


東京見物もしたいし、一緒に遊びに行こうって…」


もじもじ くねくね



身体のどこかを動かさなきゃ喋れないの?




あたしは男じゃない。



そんな仕草、するだけ無駄だ。




「…へぇ…。もう、そんなとこまできてるんだね」



付き合って一ヶ月半、と言う所だろうか。



まだお互いの事を全て知っているわけではないのに、よくやるよ、と思う。


兄はまだ留美の事を知らない。


あたしを中傷していた事も、他の人に嫌われている事も。


知らないからこそ一緒に居れるんだ。






「あー。早く叔父さん達帰ってこないかなー!


俺の彼女 って言ったら驚くだろうなー!こんな美人の彼女、どうやって付き合えるんだ?とか、雪さんに聞かれたらなんて答えよう!」



「やぁだぁ!美人なんて、誰も思ってないからぁっ」



あ、でた。彼女お得意の自分否定。


謙遜とはまるで違う。



彼女は自分を否定して、相手から『そんな事無いよ』と言われるのを待っている。


兄だって多分。


「んなことねぇよ。少なくとも俺は思ってるね」


……ほら。簡単に誘導された。



< 182 / 337 >

この作品をシェア

pagetop