ティーン・ザ・ロック
彼女はくねくねと身体を動かしながら、恥ずかしそうに言ってくる。
「あのね…。要さんが、叔父さん達にも紹介したいって言ってくれたから…。
東京見物もしたいし、一緒に遊びに行こうって…」
もじもじ くねくね
身体のどこかを動かさなきゃ喋れないの?
あたしは男じゃない。
そんな仕草、するだけ無駄だ。
「…へぇ…。もう、そんなとこまできてるんだね」
付き合って一ヶ月半、と言う所だろうか。
まだお互いの事を全て知っているわけではないのに、よくやるよ、と思う。
兄はまだ留美の事を知らない。
あたしを中傷していた事も、他の人に嫌われている事も。
知らないからこそ一緒に居れるんだ。
「あー。早く叔父さん達帰ってこないかなー!
俺の彼女 って言ったら驚くだろうなー!こんな美人の彼女、どうやって付き合えるんだ?とか、雪さんに聞かれたらなんて答えよう!」
「やぁだぁ!美人なんて、誰も思ってないからぁっ」
あ、でた。彼女お得意の自分否定。
謙遜とはまるで違う。
彼女は自分を否定して、相手から『そんな事無いよ』と言われるのを待っている。
兄だって多分。
「んなことねぇよ。少なくとも俺は思ってるね」
……ほら。簡単に誘導された。