ティーン・ザ・ロック
「あれ?その子、葉瑠ちゃんの友達?」
優さんがスーパーの袋をテーブルに置きながらソファーにいる留美に気付く。
「あ…。この子、俺の彼女」
兄が紹介すると、留美はしおらしく
「お邪魔してます…。
要さんとお付き合いさせて頂いている浅生(あそう)留美と言います」
なんて、恥ずかしそうに頭を下げていた。
「葉瑠とは小学校の時からの親友なんだよな。兄弟で世話になってるんだー」
照れくさそうにはにかむ兄を、優さんと優さんが笑顔で持て囃す。
「やぁーっと彼女出来たんだ!可愛い彼女さんね」
「俺よりも先に彼女なんて!腹立つなぁ!!」
笑う、笑う。
みんな、楽しそうに。
この瞬間は居場所がない。ここにも、学校にも。
杉澤君を想う、そんな瞬間。
「そう言えば」
優さんがパンッと手を一度叩いてあたしに視線を移す。
「葉瑠ちゃんにも彼氏がいるのよねっ?」
「え…?な……?」
ピンとこない話を進める優さん。
「ほら、この前家に連れて来たじゃない!あの子も呼ぶと良いわよー!」
って…きっとそれは彼の事に違いないけれど。
「この前も言ったじゃないですか…!あの人は彼氏なんかじゃ…!!」
よりによって兄の前でそんな事を…!