ティーン・ザ・ロック
話声
「夕飯までには帰るから」
「沢山遊んでくると良いわよー。じゃ、悪いんだけどお客さん待たせてるからここで。
要くん、留美ちゃん。また遊びに来てね」
「はい」
日曜日。朝10時。玄関先。
優さんがあたし達を笑顔で見送ってくれた。
今日の夕方に兄と留美は帰っていく。
その前に東京見物をしたいと言って来たので、今日は雪さんが運転手で
それにあたしも付いて行く事になった。
昨日の夜に帰って行った杉澤君も、今日も付き合ってくれる事になっている。
振りまわして悪いからと言ったのだけど、どうせ暇だから と一緒に来てくれる事になった。
申し訳ないな、と思いつつ 明日も彼と一緒に居られると思うと嬉しくて堪らなかった。
「じゃあ、行こうか」
雪さんに促され、駐車場まで行って
「あ…」
忘れものに気付く。
「お財布忘れちゃった…。ごめんなさい、すぐ取ってきます!」
みんなに謝って、走りだす。杉澤君も待ってるかもしれないのに、何やってるんだろう。