ティーン・ザ・ロック
たまに道に迷いながら、やっと東京タワーに着く事が出来た。
「でっけぇー!!」
「きゃぁーっ!何あのピンク色のキャラ!可愛い~」
着いて早々はしゃぐバカップルに、苦笑いを浮かべて付いて行く保護者目線のあたし達。
「ノッポンって言うんだって」
雪さんが二人に説明すると、そのノッポンの元に駆けだす二人。
「写メ取るべ!写メ!!」
「あたしが先にツーショするっ」
……いい年して何を…。
観光客や修学旅行生たちが笑いながら二人の前を通り過ぎるのを見て、こっちが恥ずかしくなった。
「あれ意外に背が高かったぞっ!」
興奮冷めやらぬ、と言った感じで、展望台に入っても
兄はずっとノッポンが頭から離れず、景色どころでは無いだろう。
ため息を付いて、逃げる様に兄たちから離れた。
「逢坂さん」
「…杉澤君」
振り返ると、彼がゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
……ホント、参るよね。
いつもそう。彼は、あたしが側に居て欲しい時
必ずと言って良い位一緒に居てくれる。
きっと…そんなんだから彼に惹かれたんだろうな。
誰よりも人の感情の変化を感じ取って、ずっと側に居てくれる。
でも、誰でも好きになってたわけじゃないと思うんだ…。
杉澤君だから。魅力的な彼だから。
あたしはきっと…。