ティーン・ザ・ロック
「大丈夫ですか?」
ドアの向こうで誰かがノックをする。
「…………」
放っておいてほしい時程お節介を焼きたがる人が集まるのは何故だろう。
トイレットペーパーを引きちぎって、乱暴に顔を拭い、外に出る。
何も言わないあたしを心配そうに見てくる、知らないおばさんに会釈だけ返して
端っこの鏡の前に立った。
鏡の中のあたしは、酷い顔をしている。
泣き腫らした眼、真っ赤になった瞼。
ろくに開かない眼から見るあたしの顔は
絶望に染まっていた。
それでも、濃い化粧で、作り笑いで
全てを誤魔化す事のできる自分に少しの希望を見た。
大丈夫。あたしは大丈夫だよ。
誰にも悟られないようにする。あたしが今抱えてる想いは、家族だけには知られてはいけない事なのだから。
でも…。
そうできる位、強い自分である為には、きっと彼にだけは側に居て知っていて貰わないといけないだろう。
また…迷惑かけちゃうね…。
ごめんね、杉澤君。