ティーン・ザ・ロック
あたしは多分、気付いてしまっている。
養子なのはどちらなのか。
それはきっと兄だ。
私達兄妹は、父方の祖父によく似ていると言われていたから、
両親に似てなくても今まではなんの疑問も持たなかった。
だからこれはあくまであたしの予想だし、不確かな事には変わりは無い。でも…
そうでなければ、兄の行動の説明がつかないのではないだろうか…?
まだ高校生で居られた筈の人生を、無理やりと言っても良い位に辛い方向に捻じ曲げた事。
叔父さん達の援助すら受けないと頑なに断っていたあの時の様子を考えると
どうしても養子は兄だとしか思えなかった。
きっと兄も自分が養子だと言う事を知っている…。
……そして
知らなかったのはあたしだけ…。
……そうだ。確か母の遺品を荷物にこっそりと紛れ込ませたんだっけ。
日記とか、写真とか…そんなのも入ってたはず。
寂しくなった時、母や父に会いたくなった時に、出してみようと思っていたソレが
こんな理由で蓋を開ける事になるとは。
鏡に向かってポツリと呟いた。
「ごめんね、お母さん…。でも、知りたいんだ…。確かめたいんだ」
それで
『血が繋がって無くたって、あたしはお兄ちゃんと一緒に暮らしたい』
そう言ってあげるんだ…。