ティーン・ザ・ロック




唇をキュッと結んで


彼の待つ場所へ向かう。



修学旅行生の群れを掻き分けて、やっとの事で彼が視界に入る。



杉澤君。



そう呼びかけようとして、出来なかった。


声が、出なかった。





知らない人たちが沢山いる中で


彼の姿だけが妙に浮き出ている気がする。



そして、その側には


留美が居た。




「ねぇ、良いでしょー?」


「…………」


「アドレス位、教えてくれても良いじゃーん!」


「……逢坂さんのお兄さんと付き合ってるんだよね?」


「あははっ!んなの、バレなきゃ何やったって大丈夫だよ!」



杉澤君にしなだれかかって


上目づかいで目を見開いて


彼の綺麗な指先を握りしめて




何をやっているの…?




「ねぇ!葉瑠ってさー暗くない?

ホントは一緒に居てもつまんないんでしょ?


だったらぁ…あたしとヒミツで付き合っちゃおうよ!


スリルあるし、ソッチのが燃えるしー。


それに、あたしの方が美人くない?」



何を やってんの…っ!!



< 200 / 337 >

この作品をシェア

pagetop