ティーン・ザ・ロック
唇をキュッと結んで
彼の待つ場所へ向かう。
修学旅行生の群れを掻き分けて、やっとの事で彼が視界に入る。
杉澤君。
そう呼びかけようとして、出来なかった。
声が、出なかった。
知らない人たちが沢山いる中で
彼の姿だけが妙に浮き出ている気がする。
そして、その側には
留美が居た。
「ねぇ、良いでしょー?」
「…………」
「アドレス位、教えてくれても良いじゃーん!」
「……逢坂さんのお兄さんと付き合ってるんだよね?」
「あははっ!んなの、バレなきゃ何やったって大丈夫だよ!」
杉澤君にしなだれかかって
上目づかいで目を見開いて
彼の綺麗な指先を握りしめて
何をやっているの…?
「ねぇ!葉瑠ってさー暗くない?
ホントは一緒に居てもつまんないんでしょ?
だったらぁ…あたしとヒミツで付き合っちゃおうよ!
スリルあるし、ソッチのが燃えるしー。
それに、あたしの方が美人くない?」
何を やってんの…っ!!