ティーン・ザ・ロック
「何のつもりで彼にまで近づくの?
お兄ちゃんの事はどうなってんのよ!」
「……あーあ。ばれちゃった。ツマンナイなァー」
「……どういう事」
頬を抑えたまま、今度は怒るでもなく泣くでもなく。
ただあたしを見ながらにやにやと気味の悪い笑みを作っている留美。
まるでこの状況を楽しんでいる様な、そんな笑みだ。
「ホントなら、もっともっと後であんたにばらして、絶望感を味わわせたかったのに。
…こんなに早くちゃ、あたしが望んでた顔よりも全然程度が低いんだもん。残念ー。
……あたしはね、あんたが大っ嫌いなんだよ、葉瑠」
悪ぶりもせず、ただ無邪気に。それでいて完全な悪意が渦巻いている。
どうやったらこんな顔が出来るの…?それほどまでにあたしが憎いと言う事なのだろうか…?
ギャラリーが集まる中、彼女はまるで女優みたいな身ぶりで自分の感情を吐き出す。
「あたしは知ってたよ。あんたがあたしの居ない所でみんなとあたしの悪口を言ってた事。
ウザいとか自己中だとかケバイとか。悪口言って盛り上がってたくせに、あたしが来るとすぐに駆け寄ってくる。
”自分しか留美と一緒に居られないから。ホントは嫌いだけど、留美を一人にするのはカワイソウ。ほら、見て。あたし頑張ってるよ。
偉いでしょう?慈悲深いでしょう?”
そう思ってたんでしょ!?
だから!あんたの大切な人を奪ってやったのよ!!
誰もあたしの気持ちなんか分からない!あんたみたいな八方美人には絶対に!」
言いたい事をぶちまけて、今度は顔を両手で覆って泣きだした。
あたしは
自業自得 という言葉の意味を考えていた。