ティーン・ザ・ロック




留美の、大げさとも言える程の大きな泣き声を聞きながら



じゃあ、どうすれば良かったのだ と頭を抱え込みたくなってしまう。




元はと言えば留美が最初にあたしの悪口を言った事から始まった様なものなのに。


あの悪口を聞くまでは、あたしは留美の事が大好きだった。



あたしに無いものを沢山持っている様な気がして…。大人っぽい態度もスタイルも


みんなみんな、大好きだったのに。



それなのに……。



最初に裏切ったのは留美の方だ。



何故あたしがこんな惨めな気分にならなければならないのだろう。



唇を噛み締め、床を見つめる。




顔を上げる事なんかできなかった。



知らない人たちがあたし達をみて何かを思い思いに呟く。



さっきまではあたしに対しての同情の声が多かった筈なのに



留美が泣いてしまってからは、あたしに向けられる呟きは非難の声ばかりだ。




知らないくせに…。何にも、知らないくせに…!!




「葉瑠、留美」



名を呼ばれ、反射的に顔を上げる。



そこには飲み物を手に持った兄と雪さんの姿があった。



二人は集まった野次馬を見て顔をしかめながら、人ごみを掻き分けてこちらに向かって来る。



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