ティーン・ザ・ロック




「まあまあ、二人とも…。こんな所で言い争ってても何の得にもならないよ。


……取り合えず出よう」



雪さんが間に入ってくれて、あたし達をここから連れ出してくれた。



展望室から出ていく瞬間、兄はあたしを睨んだ。



今まで見た事のない目、だった。



思わず歩みが止まる位に、あたしは動揺していた。

俯きかけた時、彼が目の前に立って手を握ってくれる。


「……僕は、キミが正しいと思うよ」



「……ありがと…」



たった一人でも 味方で居てくれる人が居るだけで頑張ろうと思える。




握られた手の温もりはきっと一生忘れないだろう。




「…行こう。大丈夫だよ、きっと」


「…うん」



あたし達は手を繋いだまま、エレベーターに乗り込んだ。












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「……じゃあ、また来ます。

…後で電話するからな」



前者は雪さんに向けて。後者は勿論あたしに向けて、だ。


駅に来るまでの、車の中の空気と言ったら、今すぐ扉を開けて飛び出したい!と思ってしまう位にどんよりと、ピリピリとしていた。


ため息を何度吐いたか分からない。


見送りに来た今この瞬間だって、本当は帰ってしまいたい位だ。


でもそんな事は出来ない。


兄の怒りが解けるまでの間は、あたしは良い子で従順で、しおらしく居なければならないのだから。


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