ティーン・ザ・ロック
夏の風
あれから、二ヶ月があっという間に過ぎ去った。
今日は終業式で、明日からもう夏休みになる。
兄から一度電話があった時、『あの時は俺もどうかしてた』と謝られた。
仕事が上手くいってなくて、そのストレスも溜まってたんだ
と…。
でも、兄が留美を疑ったわけでもないし、あたしに対しても『幾らなんでも殴るのはないだろ』と、やんわりとだが怒られもした。
それでも、兄にずっと恨まれているよりはマシだし、仲直りできるんだったらそれでもいいと思った。
先月会った時は、気まずさは残っていたものの、いつも通りと言って良い位に接する事が出来た。それは留美が居なかったせいもあるだろうけど…。
…だけど
兄が本当に養子なのかどうか。それだけは知っておきたい。
母の日記を全て読み返し、どこかに手掛かりがないかと探してみたものの
母はどちらが養子か、なんて 一言も書いていなかった。
それは、血など関係なく、兄を自分の息子として育てていた事を意味していて。
もし兄がこの日記を読む時が来たらきっと涙を浮かべてしまうのではと思う程に
優しく、愛情にあふれた内容だった。
養子と言う事実は確認できなかったものの、母の愛情の深さを知って、それで満足してしまったあたしは、それ以上深く調べる事もせずに
こうして夏休みを迎えようとしている。