ティーン・ザ・ロック
最後の別れが、悔いの残らないものに出来た気がする。
「では、そろそろ…」
火葬場の職員が、遠慮がちに申し出て
冷たい鉄の扉に、棺桶がそれぞれ吸い込まれていった。
人間(ヒト)の最後は、ヒトとしての形すら失ってしまう。
低い温度でゆっくりと骨になり、たったひとつの壺に収まってしまうのだ。
でも、その人が存在していた事には変わりは無い。
骨になったって、灰になったって。
あたし達がその人の事を思い出せば、いつでも会えるんだって事
今になってやっと気付けたよ。
沢山の人が、お父さんやお母さんのこと
忘れないでいてくれたらいいな…。
「火葬が終わるまで、1時間半程の時間を要します。
それまでどうぞ、控室にてお待ちください」
叔父さんが皆を誘導し始める。
兄は
「どうする?自販機あるし、何か買って来ようか」
と、あたしの顔を覗き込みながら聞いてきた。