ティーン・ザ・ロック
1ヶ月検診のページに書かれていた文字。
これは、母の字ではない。
“目つきは悪いけど、可愛い”
青いペンで、お世辞にも上手いとは言えない字で。
これは、何…?
心臓が鈍く跳ねる。手が小さく震える。
まさか…まさか…!!
慌てて母の遺品に紛れ込んでいた兄の母子手帳を取り出し、検診時の書き込みを全てチェックしてみた。
そこには青いペンの文字も、母以外の、その汚い字も
見当たらなかった。
それどころか、兄の母子手帳の検診は全て受けた形跡があって。
更には母の妊娠時の体調についても書き込まれている。
あたしの母子手帳には
書いていなかったのに、だ。
母子手帳の表紙、母親と父親の名を記入する欄には、どちらも両親の名が書かれているのに…何故?
薄いカバーの上から、その名前の部分を撫でてみる。
兄の物とは違い、あたしの物には違和感があった。
急いでカバーを外し、目を凝らしてよく見ると
「うそ…」
名前を書き込む部分にシールが貼られ、上には母と父の名が、
その下には、うっすらと名前が書き込まれているのが見えた。
ああ、そうか。