ティーン・ザ・ロック
「ねえ、分かってんの?」
脅す様に聞こえて来たその声は、紛れもなくあの人の物だった。
「…わぁってるって!
杉澤と一緒にいる女もヤればいいんだろ?
だからさ、ソレが終わったらまた付き合ってくれるよな?
紅葉」
やっぱり…紅葉…!
でも、話している相手の顔が良く見えない。
見つからない様に階段をゆっくり登って、見える位置まで移動する。
そこで見た相手の顔に、思わず息を飲んでしまった。
林田…!?
口を押さえ、手すりに身体を密着させて、相手から見えない様に隠れる。
幸いな事にあたしの存在には気付いた様子も無く、二人は話を続けた。
「…それは、ちゃんと仕事が終わったらだってば。
杉澤と一緒に居る女は逢坂葉瑠って名前だからね。入口から呼べば来るんじゃない?
…で、もうヤッちゃって良いから。そいつには顔にも怪我させていいからね。
それから、写メでも撮っておけば後から脅し効くでしょ」
「あー…別に良いけど…」
何…?あたしを強姦しろって命令してるワケ…?
それに紅葉のあの態度…もしかして、杉澤君に林田を消しかけてるのも紅葉なの…!?
……その答えはすぐに分かったのだけれど。
「あんただって杉澤に恨みあるでしょ?紅葉に酷い事したのはアイツの方なんだよ…?
それなのに杉澤だけ女作って幸せになるなんて許せない…!そうでしょう…?だから
二人とも二度と笑えない顔にしてよ…!!」