ティーン・ザ・ロック





「ケン!!もう、良いんだってば…っ!!私が、全部悪いの……。引っこみがつかなくなって…それで…。


それに、襲われたって言ったのも、ホントは嘘なんだよ…。



私が…ッ…杉澤の事、好きになってそれで…誰も居ない教室で迫ったの。


でも、ケンにはそんな事言えなかった!!惨めな私だから…ケンに逃げ場を作ってたの。


ゴメン、言えなくて。ゴメン、嘘…吐いてて。




だから、もう…やめよう…?」




驚いた様な、悲しい様な。



そんな表情で紅葉を見つめる林田。


言葉すら失ったようで、暫くの間



誰も、何も言う事が出来なかった。





沈黙を破ったのは、林田だった。





「……知ってたよ、お前が嘘吐いてる事も、コイツへの気持ちもさ」



そう言った後で『あーあ』と、自分の髪をぐしゃぐしゃにしていた。



「知ってたの…?知ってて、私の嘘に付き合って、こんなことまで…」



「……あのさ、勘違いすんなよ。


お前の為だけにこんな事するわけねぇだろ。俺だってこいつにムカついてんだよ。


紅葉にこんな顔させるなんてさー。仮にも付き合ってた俺にとっちゃ面白くもなんともねぇわけよ」



……ホントの事も混じってるだろうけど、やっぱり林田は嘘つきだ。



多分林田は、紅葉の為なら何だってしてしまう。そんな気が、した。




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