ティーン・ザ・ロック

あ、マズイ。泣かないつもりだったけど…



そんな事が出来る程、浅い感情じゃなかったみたいだ。



見る見るうちに、彼の顔が歪んでいく。




「あの…逢坂さん…？」


「あ…。あはっ。大丈夫。ちょっと…ゴメン」



泣くなよあたし。泣いたりしたら、彼が罪悪感を感じちゃうじゃないか。



せめてこれ以上、彼の前では泣きたくないな。



そう思って、彼の横をすり抜けようとしたのだけれど。




「え？ま……待って！…何処行くの？」



腕を掴まれてしまった。その間にもぼろぼろと、流れる涙は止まってくれない。



「何処って…」



何処だろう。そんな事言われても答えられないんだけど…。



戸惑うあたし。でも、それ以上に彼は戸惑っているようだった。



「あの……。何か、勘違いしてない？…早とちりって言うのかな…」



振り返ってみると、彼は目線をあたしに合わせようとしない。…と言うか、合わせようとしてるんだけど、出来てない…みたいな…



「あの、僕も…逢坂さんの事、好きなんだ…けど…」



「え？何？」




さらりと好きって言ったけど…好きって……好きって!!?